平久保半島ブランドを、次の世代につなげるため
この半島には、世界的にもトップクラスの夜の暗さと、手つかずの海岸線が残っています。それを今と同じ状態で渡すのではなく、価値を高めた状態で渡す。協議会の一番の目的はここにあります。
五つの集落は、これまでそれぞれに自治会を運営してきました。それを一つにまとめたのは、集落ごとに考えていては間に合わない問題が、同時に来ているからです。
この半島には、世界的にもトップクラスの夜の暗さと、手つかずの海岸線が残っています。それを今と同じ状態で渡すのではなく、価値を高めた状態で渡す。協議会の一番の目的はここにあります。
それぞれの集落は小さくなり続けています。一つの集落だけでは、地域の意思を示すことも、行事を続けることも難しくなりました。半島でまとまることは、暮らしを続けるための現実的な手段でもあります。
半島にはまだ大規模リゾートホテルが一軒もありません。だからこそ計画が持ち込まれます。窓口が集落ごとに分かれたままでは、半島全体の景観も夜空も守れません。
よそから来る開発業者やアクティビティ事業者は、稼げなくなれば土地を売り、次の場所へ移ることができます。それ自体を責めるつもりはありません。ただ、先代からこの土地を受け継いだ私たちは、そうではありません。ここで暮らし続け、次の子どもたちに渡す側です。だから、そのまま渡すのではなく、価値を高めて引き継ぐ責任があります。
100年後、1000年後を見据えて話し合える場所を、この半島に。
目の前の一件ごとに、集落ごとに判断していては、その先までは見えません。半島全体で、長い時間の単位で話し合う。そのための協議会です。
自然状態の空の限界に近い値です。これは感想ではなく、機器で測った数字。世界中どこでも同じ基準で比べられます。夜が普通に暗いことに価値がある時代に、それがまだここに残っています。
日本に暗い場所は他にもあります。しかし平久保半島の暗さは、たまたま人が少ないからではありません。この半島の形そのものが、光を入れない構造になっています。
伊原間の「船越(ふなくやー)」では、太平洋側の長田浜と東シナ海側の伊原間湾がわずか270m。昔は船を担いで越えたほどです。三方を海に囲まれ、陸側に光源が入り込む余地がありません。
石垣市街地と半島の間には、沖縄県最高峰の於茂登岳を中心とする於茂登山系が東西に横たわります。島の明かりは、この山に遮られて半島まで届きません。
石垣島を南北に縦断して7地点で測った、夜空の暗さの実測値を見る
2026年8月16日深夜から17日未明にかけて、専用測定器(Unihedron Sky Quality Meter)で石垣島を南北に縦断し、7地点で夜空の暗さを測定した記録です。市街地側から半島へ北上するほど暗くなるという光害の勾配が、一晩の測定ではっきり現れています。
| 地点(北 → 南) | SQM値 mag/arcsec² |
|---|---|
| 流れ星の丘(久宇良・観測所) | 21.86 / 21.89この夜の最暗値 |
| 平久保半島・久宇良 | 21.82 / 21.85 |
| 伊原間 | 21.67 / 21.71 |
| 玉取崎展望台 | 21.60 |
| 野底 | 21.50 / 21.58 |
| 桴海・米原方面 | 21.24 |
| 名蔵・嵩田方面 | 19.36〜19.39市街光の影響 |
市街地に近い名蔵・嵩田方面(19.4弱)と平久保半島(21.8台)では、夜空の明るさに約9倍の差があります(SQMは対数スケールで、2.4の差が9倍にあたります)。 理論上の最暗値は約22.0。平久保半島の21.82〜21.89は、アタカマ砂漠・マウナケア・テカポなど世界の一級観測地で報告される21.7〜22.0と同じ水準です。
出典: 流れ星の丘(ホシハク合同会社)による実測。 実測の全データと測定方法を見る / 実測マップ
半島にはまだ一軒もありません。これは「何も無い」ではなく、まだ選べる状態にあるということです。
於茂登岳が遮ってくれるのは、島の外側から来る光だけです。半島の中にできた光を遮る山は、どこにもありません。ひとつの施設の照明が、そのまま半島全体の測定値を押し下げます。
地形が2億年かけて作った条件を、たった一棟の建物が壊せてしまう。だから、半島全体で基準をそろえる必要があります。
夜の暗さは、この半島に残っているものの一つにすぎません。昼の平久保半島も、同じくらい手つかずです。
伊原間から最北端の平野まで、東海岸に沿って「平久保半島エコロード」が続きます。自然景観を優先して、基本的に舗装されていません。街灯もありません。その両側に、人の手が入っていない海岸と森が広がっています。
動画「平久保半島エコロード」(石垣市公式YouTubeチャンネル)




半島の陸と海の多くは、西表石垣国立公園に指定されています。2016年の拡張では、平久保・久宇良のサガリバナ群落地が新たに加わりました。石垣島でヤシガニ保護区が設定されているのも、この半島だけです。
星空、海岸、森、地質、そして五つの集落の暮らし。これらが一つの半島に、ばらばらにならずにまとまって残っていることが、平久保半島の価値です。
大げさな話ではありません。基準がないまま開発が始まると、次の順番で価値は失われます。
土地は集落ごとに売買され、交渉も集落ごとに行われます。話がまとまるたびに条件が変わり、半島全体としての基準は残りません。
半島の中の光を遮る山はありません。基準外の照明が一つできれば、それだけで半島全体の測定値が下がります。夜の暗さは、一度失うと戻りません。
「どこにでもある島の海辺」になれば、ここを選ぶ理由は価格だけになります。地域も事業者も、そこから先は値下げでしか競争できません。
だから私たちは、開発が来てから交渉するのではなく、来る前に半島全体の基準を決めておくことにしました。
五つの取り組みが、ひとつながりです。住民で合意し(憲章)、国と計画をつくり(IP計画)、事業者と約束し(協定書・認定制度)、最後に条例にする。
統一された基準がある土地では、隣地が無秩序に開発される心配がありません。景観と夜の暗さが守られることは、そこに投資した事業者の価値を守ることでもあります。私たちは、開発を検討される方を排除するつもりはありません。同じ基準に立っていただける方と、一緒に価値をつくりたいと考えています。
半島全体が同じ基準に立つため、景観・夜の暗さという資産が、事業の前提として維持されます。
事前届出の仕組みにより、計画段階で論点を確認できます。着工後に地域から反対の声が上がる事態を避けられます。
認定事業者として、地域が育てるブランドの一員になれます。協議会のサイトから直接予約につながり、個社では作れない価値を共有資産として使えます。
いきなり条例を求めているわけではありません。地域の側で理念を文書にし、賛同する事業者を認定する仕組みを、先に動かしています。
2026年5月15日、石垣市役所(ふるさと創生課・都市建設課)と意見交換。デマンド交通の継続実施と公共ライドシェアの可能性、平久保小学校跡地での地域イベントと企業版ふるさと納税の活用について話し合いました。
平久保自治協議会は、何のための組織なのか。行政への陳情ではなく、住民が自ら動いて地域の未来を形にする場として立ち上げた経緯と、世界的に稀な平久保の夜の暗さという固有資産をどう守るか。会長・新垣信成が想いを綴ります。
2025年7月29日に石垣市に対して回答を求める要請書を提出 2025年7月29日に旧平久保小学校跡地の活用に関する「要請書」を、石垣市ふるさと創生課に提出しましたのでご報告いたします。 旧平久保小学校は、開拓の歴史を刻。
共同憲章も、条例案の全文も、総会の議案と結果も、年度ごとの決算も。協議会が決めたことは、例外なく公開します。基準をつくる側が閉じていては、基準は信用されないからです。
この半島で遊ぶとき、認定マークのある事業者を選んでください。それだけで、あなたのお金は、この景色を守るルールに賛同した人のところへ届きます。