ORDINANCE DRAFT — 4TH
平久保半島条例案 全文(第4稿)
平久保半島自治協議会が市へ提案するために作成している条例案の全文です。これは市が定めた条例ではなく、地域からの素案です。 指摘を受けて第1稿から3回書き直しており、その経過も 改稿履歴 で公開しています。
改定: 2026-05-15 Vr3 からの改訂版 主な改訂方針: タイトル・目的・理念・章構成を「自然保護フレーム」から「地域価値創造フレーム」に転換。条文の構造・数値基準・許認可ゲート設計は Vr3 を踏襲。
第1章 総則
第1条 (目的)
この条例は、平久保半島地域固有の自然環境、星空景観、海洋環境及び文化的資源を、世界的にも代替できない地域の貴重な資産として認識し、その価値を高め、地域ブランドを確立することを通じて、持続可能な観光、地域経済の発展、住民の暮らしの質の向上を実現することを目的とする。
2 あわせて、当該資産を毀損する行為を未然に防ぎ、質の高い地域づくりを推進するため、開発行為、屋外照明、自然利用及び観光活動等に関し必要な事項を定める。
第2条 (基本理念)
- 平久保半島の自然環境、星空景観、海洋環境及び文化的資源は、世界的にも代替できない希少な地域資産であり、この資産価値を高めることを地域づくりの中核に据える。
- 観光利用は、地域資産の価値を増幅させる形で行われるものとする。
- 開発行為は、地域資産の価値と整合し、これを更に高める質の高いものでなければならない。
- 住民、事業者、行政及び観光客は、相互に協力し、平久保半島という地域ブランドを共に育てるものとする。
- 本条例の運用にあたっては、景観法、自然公園法、エコツーリズム推進法その他関係法令の趣旨と整合させる。
第3条 (定義)
この条例において、次に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
- 「平久保半島」 — 別表第1で定める区域
- 「市道」 — 道路法に基づき石垣市が認定する道路
- 「景観計画区域」 — 景観法第8条に基づき市が指定する区域
- 「特定自然利用区域」 — 第16条により市長が指定する区域
- 「星空保全区域」 — 第10条により市長が指定する区域
- 「地域資産」 — 平久保半島が有する自然環境、星空景観、海洋環境、文化的資源その他地域固有の価値を構成するもの
- 「認定事業者」 — 平久保半島自治協議会が認定する事業者
第4条 (適用範囲)
本条例は、別表第1に定める平久保半島の区域内における全ての開発行為、屋外照明、自然利用及び観光活動に適用する。
第2章 地域価値向上のための景観計画
第5条 (景観計画区域の指定)
- 市は、景観法第8条に基づき、平久保半島を景観計画区域として指定する。
- 区域の範囲及び境界は、別表第1のとおりとする。
- 区域の指定及び変更は、住民意見聴取(パブリックコメント)及び市議会の議決を経て行う。
第6条 (景観計画の策定)
- 市は、景観法第8条に基づく景観計画を策定し、平久保半島の地域価値を高める基準を設ける。
- 景観計画には次の事項を含むものとする。
- 屋外照明の基準(色温度・上方光束・光束量等)
- 建築物の高さ・形態・色彩の基準
- 緑化・修景に関する基準
- 区域ごとの基準の細分化
- 本条例の各章に定める基準は、景観計画に反映するものとする。
- 景観計画の改定は、本条例の改正と整合させて行うことを原則とする。
第3章 平久保ブランドの中核 ──「夜の暗さ」の価値保全
第7条 (屋外照明の基本基準)
屋外照明設備を設置する者は、平久保半島の夜空という地域資産の価値を保つため、次に掲げる基準を遵守しなければならない。
- 照明の色温度は、3,000ケルビン以下とすること。
- 照射方向は水平以下とし、上方への光漏れを生じない構造とすること。
- 光源は必要最小限の明るさとすること。
- 22時から翌朝5時までの間は、消灯又は減光すること(防犯・安全上必要なものを除く)。
- 道路、海岸及び自然区域においては、上方光束遮蔽型(フルカットオフ型)の照明器具を使用すること。
第8条 (光束量の制限)
- 敷地内に設置する屋外照明の総光束量は、敷地面積100平方メートル当たり5,000ルーメンを超えてはならない。
- 第10条に定める星空保全区域内では、上限を3,000ルーメンとする。
- 既存施設については、次条の経過措置による。
第9条 (既存照明の経過措置)
- 本条例施行時に既に設置されている屋外照明であって、第7条及び第8条の基準に適合しないものは、施行後10年以内に基準適合に改修するものとする。
- 市は、改修に対し技術的助言及び財政的支援(企業版ふるさと納税等の活用を含む)を行うことができる。
第10条 (星空保全区域)
- 市長は、特に良好な星空景観を有する区域を「星空保全区域」として指定することができる。
- 区域指定は、次条の客観的指標及び住民の意見を踏まえて行う。
- 区域は別表第2のとおり、初期指定区域とする。
第11条 (客観的指標による測定及び平久保暗さ基準)
- 市は、Sky Quality Meter(SQM)等の機器を用いて、平久保半島の夜空の暗さを定期的に測定する。
- 「平久保暗さ基準」を SQM 21.0(mag/arcsec²) 以上とし、これを維持することを地域価値の指標とする。
- 測定値が平久保暗さ基準を下回った場合、市長は基準回復のため必要な措置を講ずる。
- 平久保半島自治協議会は、測定及び住民監視の体制構築に協力する。
第4章 質の高い地域づくりを実現する事前届出制
第12条 (事前届出)
- 次に掲げる行為をしようとする者は、行為に着手しようとする日の30日前までに、市長に届け出なければならない。
- 高さ10メートルを超える建築物の建築
- 建築面積1,000平方メートル以上の建築物の建築
- 1,000平方メートル以上の土地の開発(土地の形質変更を含む)
- 宿泊施設その他観光関連施設の新設又は増設
- 大規模な屋外照明設備の設置
- 届出には、次の書類を添付するものとする。
- 計画図(配置・立面・断面)
- 屋外照明計画書
- 景観影響評価書
- 自然環境への影響評価書
- 集落部、自然区域、観光区域等、区域ごとに高さ等の基準を細分化するものとし、詳細は規則で定める。
第13条 (変更命令)
- 市長は、第12条の届出について、行為が景観計画又は本条例の基準に適合しないと認める場合、その内容の変更を命ずることができる。
- 変更命令は、届出受理の日から30日以内に行う。
第14条 (工事中止命令)
- 市長は、前条の変更命令に従わずに行為に着手し、又は継続する者に対し、工事の中止を命ずることができる。
- 工事中止命令に従わない場合、市は第30条の措置を取るものとする。
第15条 (建築主事への通知制度)
- 第12条の対象となる行為について、本条例による適合確認を受けていない計画は、建築基準法第6条の建築確認申請に先立ち、市長への適合手続を完了しなければならない。
- 建築主事は、本条例による適合通知が添付されていない建築確認申請については、その旨を申請者に通知するものとする。
第5章 自然観光資源の価値保全と高付加価値化
第16条 (特定自然利用区域)
- 市長は、自然環境の保全及び安全管理上必要があると認める区域を「特定自然利用区域」として指定することができる。
- 区域指定は、住民意見聴取及び協議会との協議を経て行う。
第17条 (立入制限)
- 特定自然利用区域への立入りは、第19条の認定ガイド同行の場合に限ることができる。
- 市長は、利用人数、利用時間、利用方法その他必要な条件を定めることができる。
第18条 (利用方法の制限)
特定自然利用区域においては、次に掲げる利用方法を制限又は禁止することができる。
- 市道以外への自動車及びバギー等の乗入れ
- 指定場所以外への立入り
- 動植物の採取又は損傷
- ごみの放置
- 騒音を伴う行為
- ドローンの飛行(航空法その他関係法令と連携)
- 区域ごとに徒歩又は自転車利用に限定することができる。
第19条 (認定ガイド制度)
- 市長は、自然環境保全及び安全管理に必要な知識を有する者を認定ガイドとして登録することができる。
- 認定ガイドは、利用者に対し地域の価値及び安全管理に関する説明を行わなければならない。
- 認定ガイドの登録要件、更新要件、講習等の詳細は、規則で定める。
- 認定ガイドが本条例に違反した場合、市長は登録を取り消すことができる。
第20条 (利用人数の制限)
- 認定ガイド1名当たりの利用者数は、原則として15名以下とする。
- 自然保全度の特に高い区域については、規則により10名以下に制限することができる。
第21条 (バギー等事業者の登録制)
- 特定自然利用区域内でバギー、ATV、自然観察車両等を運行する事業者は、市長への登録を要する。
- 登録要件、登録更新、登録取消については、規則で定める。
- 無登録での運行は、これを禁止する。
第6章 海洋・海岸資源の価値保全
第22条 (海岸利用ルール)
海岸及び沿岸海域の利用者は、平久保半島の海洋・海岸という地域資産の価値を損なわないよう努めなければならない。
第23条 (車両及び路上駐車の制限)
- 市長は、海岸周辺における路上駐車その他交通の妨げとなる行為を制限することができる。
- 制限区域は、住民意見聴取及び関係機関との協議を経て指定する。
第24条 (マリンアクティビティの制限)
- 市長は、サンゴ礁、リーフその他価値保全が必要な区域において、次に掲げる行為を制限することができる。
- マリンジェット等の進入
- 船舶の係留
- 特定区域外でのアクティビティ実施
- 漁業権との関係については、地元漁業協同組合との協議を経て調整する。
- マリン事業者の登録制度を別途設けることができる。
第25条 (利用ルールの周知)
観光事業者及びガイドは、利用者に対し海岸利用ルール及び地域資産保全に関する事項を多言語で周知しなければならない。
第7章 観光事業者との協働
第26条 (観光事業者の責務)
観光事業者は、平久保半島の地域資産の価値及び地域住民の生活環境に配慮し、地域ブランドの向上に資する事業運営を行わなければならない。
第27条 (観光客への周知)
観光事業者は、利用者に対し次に掲げる事項を周知するものとする。
- ごみの持ち帰り
- 路上駐車の禁止
- 星空観賞時の照明マナー
- 海岸利用ルール
- 指定区域外への立入り禁止
- ドローン利用の制限
第28条 (認定事業者制度との連動)
- 平久保半島自治協議会の認定事業者制度において、認定事業者は本条例の遵守を要件とする。
- 認定事業者が本条例に違反した場合、協議会は認定を取り消すことができる。
- 市は、観光協会その他関係団体との連携において、認定事業者の遵守状況を踏まえた支援を行う。
第8章 地域ブランドを守るための措置
第29条 (指導及び勧告)
市長は、この条例に違反する行為があると認める場合、必要な指導又は勧告を行うことができる。
第30条 (変更命令・工事中止命令の不履行への措置)
- 第13条の変更命令、第14条の工事中止命令に従わない者に対し、市長は工事の中止、原状回復、改修その他の必要な措置を命ずることができる。
- 命令に従わない場合、関連する市の許認可の取消又は更新拒否の事由として扱う。
第31条 (公表)
- 市長は、次に掲げる場合、違反者の氏名又は名称、所在地、違反内容、命令内容及び対応状況を公表する。
- 勧告に従わない場合
- 変更命令・工事中止命令に従わない場合
- 認定事業者の認定取消があった場合
- 公表は、市のホームページ及び公報により行うほか、協議会のホームページにも掲載するものとする。
- 公表前に違反者に意見陳述の機会を与えるものとする。
第32条 (市の許認可・補助金との連動)
- 市は、本条例の違反者に対し、市が交付する補助金、業務委託、観光事業支援等について、不交付・受託拒否の事由として扱う。
- 企業版ふるさと納税による補助金についても、同様の取扱いとする。
- 市は、関係団体(観光協会、商工会等)に対し、違反情報を共有することができる。
第9章 雑則
第33条 (規則委任)
この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
第34条 (運用の透明性)
- 市は、本条例の運用状況(届出件数、変更命令件数、違反措置件数、SQM測定値の推移等)を毎年公表する。
- 平久保半島自治協議会は、運用評価会議を毎年開催し、住民・事業者・行政の意見集約を行う。
附則
- (施行期日) この条例は、公布の日から起算して〇月を超えない範囲内で規則で定める日から施行する。
- (経過措置) 本条例施行の際、現に着手している事業については、当該事業が完了するまでの間は、第12条から第15条までの規定は適用しない。ただし、第7条から第9条までの規定は、第9条の経過措置に従って適用する。
- (景観計画策定までの取扱い) 景観法に基づく景観計画が策定されるまでの間は、本条例の基準を景観計画の基準に準じて運用する。
別表
- 別表第1: 平久保半島の区域 (地図付き)
- 別表第2: 星空保全区域の初期指定区域 (地図付き)
(参考)関連法令・参考自治体先例
関連法令
- 景観法
- 自然公園法
- 都市計画法
- 道路法・道路運送法
- エコツーリズム推進法
- 沖縄県環境影響評価条例
- 建築基準法
- 漁業法
参考自治体先例
- ニセコ町 景観条例(高さ・面積規制と建築主事連動)
- 京都市 景観政策(高さ規制の地域別細分化)
- 軽井沢町 自然保護のための土地利用行為の手続等に関する条例
- 飯能市・串間市・弟子屈町 エコツーリズム推進全体構想
- 富士山 通行料・人数規制
- 美星町 美しい星空を守る井原市光害防止条例
- 高山村 美しい星空を守る光環境条例
- 山都町 星空環境保全条例
- 小笠原村 エコツーリズム推進全体構想
- 慶良間 エコツーリズム推進全体構想